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デュアルCPUマシンを作る(7) - ケーブルの作製と起動確認

2022/01/15

 前回の続きです。

 水冷ループが構成できたところで、DCポンプやPCファンを動作させるためのケーブルを作製します。

 本格水冷の心臓部となるDCポンプには、EK Water Blocksの「EK-Loop D5 G3 PWM Motor」を用いていますが、このDCポンプの電源ケーブルは、第三世代(G3)のものから、「SATAコネクタ」に変更されています。

 よって、DCポンプやPCファンに電源を供給するケーブルは、この「SATAコネクタ」を標準とすることにします。

CoolerMaster V1300 Platinum Flat Modular Cable

 こちらは、CoolerMasterのATX電源ユニット、「V1300 Platinum」に添付されている、フラットモジュラーケーブルです。

 一番下のコネクタが、ATX電源ユニット側の、molexの5pinコネクタ(Mini-Fit Jr.シリーズ)で、そこからSATAコネクタに4分岐しています。

Modify ainex ATX SATA Power Cable WA-085A

 まずは、マザーボードには通電せず、漏水などをチェックするため、DCポンプにだけ電源供給するケーブルを作製します。

 ainexのシリアルATA用電源変換ケーブル、「WA-085A」を改造します。

 SATAコネクタ側は、精密ドライバーを使って、コンタクトピンをリリースします。ペリフェラルコネクタ側は、専用の引き抜き工具を使えば、簡単にリリースすることができます。

 黄線が、+12Vで、赤線が、+5Vとなります。

 水冷ループの漏水チェックのため、DCポンプを稼働させるには、+12VとGNDだけあれば十分ですので、余計なケーブルは取っ払ってしまいます。

 この改造したケーブルに、ALINCOの安定化電源を接続し、+12Vを供給します。

 つづいて、DCポンプやPCファンを、きめ細かく制御するための準備に掛かります。

EKWB EK-Loop Connect for Dual CPU Machine

 EK Water Blocksの「EK-Loop Connect」(生産終了)です。

 こちら、DCポンプ内蔵のリザーバー、「EK-DBAY D5 MX - Acetal」と同様、気付いた時には、すでにディスコンになっていました。

 どこかに在庫が残っていないかと、あちこち探し回った結果、やっとニュージーランドのPCショップに、在庫があることが分かり、速攻でポチりました。

#危なかった~!0xF9C7

EKWB EK-Loop Connect for Dual CPU Machine

 この「EK-Loop Connect」は、4pinタイプのPCファン(DCポンプを含む)を6台まで接続し、PWM制御できます。

 また、サーモセンサー(温度)を3つまで接続し、このセンサーから拾った温度を元に、PCファンの回転数をきめ細かく制御することができます。 

 さらには、フローセンサー(水流)や、レベルセンサー(水位)を接続し、水冷ループに異常が検出された場合には、アドレサブルLEDの色の変化により通知してくれるという、至れり尽くせりの機能が付いています。

 専用のソフトウェアによる制御は、このような感じ。

 説明が前後しましたが、なぜに、このようなコントローラーを使うことにしたかというと、つぎのような事由があります。

 今回のマザーボードである、Asusの「WS C621E Sage」は、“ワークステーション用”ということもあり、これまで使ってきた「ROG」(Republic of Gamers)シリーズにあるような、きめ細かなPCファンの制御ツールや、アドレサブルLEDの制御ツールなどが、提供されていません。

#試しに、「Fan Xpert 4」をインストールしてみようとしましたが、「AI Suite 3」すら、インストールすることができませんでした。

 そこで、PCファンやアドレサブルLEDのコントローラーを探していたところ、都合良く、過去に「EK Water Blocks」ブランドからに発売されていたことが分かり、これを組み合わせることにしました。

EKWB EK-Loop Connect for Dual CPU Machine

 「EK-Loop Connect」の本体は、ちょうど2.5inchベイに取り付けられるようなサイズとなっています。

 今回は、強力両面テープを使い、PCケースの側面(マザーボードの裏面)に貼り付けることにしました。

Modify noctua NF-A12x25 PWM Power Cable

 前置きが長くなりましたが、検証用のケーブルができたところで、実運用のためのケーブルを作製します。

 DCポンプやPCファン用のケーブルに使うコネクタは、noctuaの静音PCファン、「NF-A12x25 PWM」付属の分岐ケーブルに付いていたものを、再利用します。

 こちらも、精密ドライバーを使って、コンタクトピンをリリースします。

 黒線がGND、黄線が+12V、緑線が回転パルス信号、青線がPWM信号となります。

EK-Loop D5 G3 PWM Motor Power Cable

 まずは、DCポンプ、「EK-Loop D5 G3 PWM Motor」用のケーブルを作製します。

 DCポンプは、「EK-Loop Connect」からのPWM信号を使って、回転数を制御します。(マザーボードからのPWM信号は、使いません)

 また、今回はデュアルCPU構成となっていますが、マザーボード上の「CPU1」「CPU2」ともに、回転パルス信号を与えないと、CPUクーラーに異常が発生したと判断され、マザーボードが緊急停止してしまいます。

 これを回避するため、DCポンプからの回転パルス信号を、2つのコネクタに入れるよう配線します。

 一番左側の白いコネクタは、5.25inchのドライブベイに設置する、ScytheのPCファンコントローラー、「SCKM-1000」に、回転パルス信号を与えるためのものです。

 「EK-Loop Connect」の専用ソフトウェアを立ち上げずとも、PCケースの前面パネルにあるコントローラーで、DCポンプなどの回転数をモニタリングすることができます。

 各コネクタには、今後のメンテナンスにおいて取り外した際、誤配線しないよう、TEPRA Proを使って示名条片を作り、貼っておきました。

EK-Loop Noctua Radiator Fan Power Cable

 つづいて、PCファン用のケーブルを作製します。

 ラジエーターを冷却するPCファンも、「EK-Loop Connect」からのPWM信号を使って、回転数を制御します。「Fan1-1」と「Fan1-2」に、同じPWM信号を与えています。

 同様に、一番左側の白いコネクタは、PCファンコントローラーに、回転パルス信号を与えるためのものです。

 また、こちらのケーブルでは、「Fan1-1」と「Fan1-2」に、+12V電源を与えています。

 PCファンの定格電流を考慮し、+12VやGndなどの“電源線”には、BX-S架橋ポリエチレン電線の「0.3sq」のもの、PWMやPulseなどの“信号線”には、「0.18sq」のものを使っています。

 このケーブルを、前面パネルにあるラジエーター用と、天板にあるラジエーター用に、2本作製します。

 書き遅れましたが、「EK-Loop Connect」は、合計で8Aまでの電流を供給できるので、DCポンプや4つのPCファンを接続しても、十分な供給能力を持っています。

Modify ainex SATA Power Cable SA-047SA-BK

 DCポンプ、PCファン用のケーブルができたところで、PCファンコントローラー、「SCKM-1000」用のケーブルを作製します。

 こちらは、ainexのシリアルATA用電源延長ケーブル、「SA-047SA-BK」を改造します。

 PCファンコントローラー側は、FDD電源コネクタとなっていますので、これに換えます。

 コネクタハウジングは、TE Connectivity(旧AMP)の「171822-4」、コンタクトピンは、「170262-1」となります。

EKWB EK-Loop Connect for Dual CPU Machine

 このような感じで、PCケースの側面(マザーボードの裏面)に、ケーブルをまとめます。

 3Mの「電気絶縁テープ」と、ヘラマンタイトンの「インシュロック」、「マウントベース」を駆使し、結束していきます。

 さて、いよいよ立ち上げです。

 ケーブル類を確認し、接続し忘れや逆接続がないことを、最終チェックします。

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 電源を入れ、起動を確認します。

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 「BIOS Setup Utility」を開き、「Processor Configuration」を確認します。

 無事に、2つのCPU(48コア、96スレッド)が認識されています、

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 「Memory Configuration」を確認します。

 無事に、12本のメモリ(計192GB)が認識されています。

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 BIOSを抜けて、「Windows 10 Pro 64bit」が起動することを確認します。

#ふぅ~、やっとここまで来ました。0xF9C6

(つづく)

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