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デュアルCPUマシンを作る(5) - 水冷パーツの組込

2021/12/11

 前回の続きです。

 水冷化のためのパーツが揃ったところで、いよいよ各パーツを組み込んでいくことにします。

 まずは、ラジエーターの取り付けです。

EK-CoolStream Radiator for Dual CPU Machine

 CoolerMasterの「CM 690 III」は、もともと上面に、簡易水冷用のラジエーターを組み込むことが想定された作りになっています。

 よって、厚さが28mmの「EK-CoolStream SE 240 (Slim Dual)」は、簡単に取り付けることができます。

 とは言え、ラジエーターのインレット/アウトレットの“出っ張り”が予想以上に大きいため、いちおう、事前にしっかり採寸し、想定された位置に取り付けられるかどうか、ちゃんと確認していますが。

EK-CoolStream Radiator for Dual CPU Machine

 このような感じで、ピッタリと収まります。

 問題は、前面に取り付ける、少し分厚めのラジエーターです。

Cooler Master CM 690 III for Dual CPU Machine
(画像は、CoolerMasterから拝借)

 上面と同様、前面にも簡易水冷用のラジエーターを組み込むことが想定されていますが、クーラントのインレット/アウトレットは、上端になるように設計されています。

 これは、簡易水冷のため、クーラントを交換する必要がないことと、上端にすることで、パイピングの距離を短くすることができるためです。

EK-CoolStream Radiator for Dual CPU Machine

 一方、本格水冷の場合は、定期的にクーラントを交換する必要があります。

#まるで、クルマの12ヶ月点検のように。

 クーラントを効率的に抜くには、ドレイン(ドレン)が下側にあった方が良い訳で、これに連動し、ラジエーターのインレット/アウトレットは、下端にくるように設置したくなります。

 しかしながら、前述のとおり、インレット/アウトレットが上端になるように設計されているため、ラジエーターの取り付け方向を天地逆さまにすると、固定ボルトの位置が、まったく合わなくなります。

 さらに、前面パネルの裏側は、鉄板の強度(剛性)を上げるためか、一部のエッジが折り返されていて、これが干渉物となって、ラジエーターをピッタリと取り付けることができなくなっています。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 そこで、この干渉物を避け、ラジエーターを前面パネルにピッタリと取り付けられるよう、オリジナルの「ラジエータープレート」を設計し、作製します。

 マザーボードの「バックプレート」の時と同様、Fusion 360を使って、モデリングします。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 5mm厚のアクリル板を、Snapmaker 2.0 A350でミリングします。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 削り出された、「ラジエータープレート」です。

 ラジエーターやPCファンの取り付け穴の位置だけでなく、前面パネルの開口部の形状を、精確に再現しています。

 素材の色は、いずれ見えなくなってしまうため、「ブラック」で良かったのですが、“nVIDIAグリーン”に近い色があったため、敢えてそれを選びました。

 「クロムグリーン」という色です。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 ラジエーターに、プレートを取り付けたところです。

 ラジエーターは、上面パネルに取り付けたものよりも分厚く、放熱性能の高い、「EK-CoolStream PE 240 (Dual)」(厚さ40mm)です。

 取付ボルトは、ラジエータープレートとのツラが同一となるよう、皿ボルトを使っています。よって、プレートには、皿ザグリを入れてあります。

 皿ザグリは、フラットエンドミル(φ2mm)とボールエンドミル(φ1.0mm)を使い分けて、削り出しています。

 ラジエーター側の取り付け穴は、インチネジ(UNC#6)になっています。アクリル板の厚みに合わせて、「#6×3/8」(長さ9.5mm)を使っています。

 ちなみに、PCファンやPCケースの取り付け穴は、ミリネジ(M3)になっているため、それに合わせています。

#ややこしい!0xF9C8

 PCケース側の取り付け穴は、φ2.6mmの下穴を空けて、ハンドタップでM3のネジ山を切ってあります。

 PCファン側は、PCケース側から伸びてきたM3×30mmのボルトのアシが逃げられるよう、φ4.0×2.5mmの凹みを入れてあります。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 前面パネルに、ラジエーターを取り付けたところです。

 ラジエーターは、PCケースに対し、M3×8mmのボルト8本で、ガッチリ固定されています。不要な振動とは、無縁です。

 オリジナルのプレートを使ってラジエーターの取付方向(位置)を工夫したことにより、水冷ループの経路上で、最も低い位置にドレインを設けることができるようになりました。

Radiator Plate for Dual CPU Machine

 前面パネルを、正面から見たところです。

 このまま純正パーツとして売り出しても良いくらい、開口部の形状が、精確に再現されています。

 PCケース側の“nVIDIAグリーン”との組み合わせも、バッチリです。

#コーディネートは、こーでねぇと!0xF9CF

Koolance Drain Valve for Dual CPU Machine

 ラジエーターが固定できたところで、ドレインバルブを取り付ける準備をします。

Koolance Drain Valve for Dual CPU Machine

 電動ドリルで下穴を空け、シャーシリーマーで所定の大きさに拡大します。

 つづいて、前面パネル上部の工夫です。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 以前に記述したとおり、前面パネル上部は、フォームファクタ「SSI-EEB」のマザーボードを収容するため、5.25inchのドライブベイをはじめ、すべて取っ払ってしまいました。

 画像のように、すっかすかになっています。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 そこで、元あった位置に、「EK-DBAY D5 MX - Acetal」などを取り付けられるよう、オリジナルの「ドライブベイプレート」を設計し、作製します。

 Fusion 360を使って、モデリングします。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 5mm厚のアクリル板を、Snapmaker 2.0 A350でミリングします。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 M3のワッシャー(φ7.8mm)の逃げです。

 円筒形の部分は、φ2.0mmのフラットエンドミルで荒削りした後、R0.5mm(φ1.0mm)のボールエンドミルで滑らかになるよう仕上げています。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 削り出したアクリル板を、組み合わせます。

 アクリル板は、「ジクロロメタン」(アクリル樹脂専用の接着剤)を使って“溶着”しています。

 素材として一体となっているため、通常の接着とは異なり、めったなことでは外れません。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 PCケースに、「ドライブベイプレート」を固定。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 「EK-DBAY D5 MX - Acetal」と、ScytheのPCファンコントローラー「SCKM-1000」を固定。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 静音PCファン、noctuaの「NF-A12x25 PWM」を固定。

5 inch Bay Plate for Dual CPU Machine

 前面パネルをはめ込んだところ。

 やっとここまでたどり着きました。0xF9C6

(つづく)

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